プロペシア=フィナステリドの効果は「ちとまずいんじゃないの?」
142号では、主にミノキシジル=リアップについて書きました。今号では、フィナステリド=プロペシアについて書きたいと思います。
男性型脱毛症の病態
日本の皮膚科学会が出した男性型脱毛症のガイドラインでは、男性型脱毛症の病態については次のように解釈されています。
- 男性ホルモンは骨・筋肉の発達を促し、髭や胸毛等の毛を濃くする方向に働く。
- 前頭部や頭頂部などの男性ホルモン感受性毛包においては、逆に軟毛化現象を引き起こす。
- 髭や前頭部・頭頂部の毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンは、2型5αリアクターゼの働きにより、さらに活性度が高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換され受容体に結合する。
- DHTの結合した男性ホルモン受容体は、髭では細胞成長因子などを誘導し成長期が延長する。
- 逆に前頭部や頭頂部でDHTの結合した男性ホルモン受容体は、TGF-βなどを誘導し毛母細胞の増殖が抑制され成長期が短縮することが報告されている。
大事な部分が抜け落ちていないか?
これっておかしい!と感じません?と言いますか、ちゃんと解明しないと「効果が望めるかどうか」を判断するのに必要な部分が、ごっそりと抜け落ちているのです。
それは、前頭部や頭頂部だけのハゲる部位だけに、TGF-βなどが誘導される不思議です。
体の毛は濃くするのに前頭部・頭頂部に限って薄くなる理由が不明です。同じDHTなのに、一方は細胞の成長因子を誘導して、一方は細胞の増殖を抑制するTGF-βを誘導するのですからね。
この違いがどこにあるのか不明なのに関わらず、研究者の集まりである日本の皮膚科学会がプロペシアが一番勧められるとするに疑問を感じずにはいられません。
男性ホルモン原因に疑問点が3つあります
また、男性ホルモンの分泌が活発なのは、男性なら誰でも20歳前半から25歳くらいまでです。(その後はゆっくりと分泌量は減っていく)
20歳前半から25歳ではハゲない不思議
だから、男性ホルモンの影響が大きいなら、この年代の時に一番DHTの活性度が高くなるはずですから、この年代にハゲてしまうのが普通のはず。
実際5000人か10000人に1人の割合で、20歳代前半でハゲてしまう男性がいるのは、このことを物語っていると思われます。(男性ホルモン100%でハゲる人は防げない。)
男性ホルモンの分泌が減るとハゲる?
ところが、このガイドラインの中で薄毛になるのが、20歳後半から40歳代で完成する?とされています。と言うことは、男性ホルモンの分泌が減っていくに従いハゲが完成されるとしているのです。
同じ男性なのにハゲる・ハゲない不思議
同じ男性なのに、髭が濃いのにハゲる人もいればハゲない人もいて、髭は薄いのにハゲる人もいればハゲない人もいて、この違いの説明もつきません。
と考えると、本当の問題はそこにはないのでは?と思ってしまうわけです。
ついでですが、あくまでも私が相談を受けていての感覚になりますが・・・
低年齢化している不思議
父親が50歳くらいから薄くなっていったのなら、その息子は20歳からとか30歳から薄くなって人が増えているのです。
何故低年齢化しているのか?です。ここに本当の理由があると感じるわけです。
フィナステリド=プロイペシアには効果があるが
フィナステリド=プロイペシアの発毛効果には、良質の根拠があるらしいがご相談者に聞いてみると「確かに半年から1年2年くらいまで」は本当にそうらしいです。
ただし、そこから続ければ続けるほど、効果は無くなっていき毛は無くなっていくらしいです。
ガイドラインと現場で起こっていることが大きく違う
ご相談者に聞いた話とガイドラインに記載されていることに大きく差があります。一番差がでているのは、一番怖い副作用と後遺症です。
ガイドラインでは、性欲減退や勃起不全等の性機能に関して調べています。(一部頭痛や嘔吐の記述あり)
でも、これらしか調べていないのではないか?と感じますね。
精力が減退する意味は?朝立ちしない理由は?
西洋医学的に言えばその部位の異常でしょうが、これを東洋医学的にとらえると、
気血の巡りの悪さ加減を表わしていて未病の状態と捉えます。
体全体としてとらえると、薬を飲むことで病気の一歩手前の状態にしているわけです。
プロペシアには効果はあります。が、その部分だけに効くのではなく体全体に影響を与えるので、時間の経過と共に気血が流れない状態にしてしまうのです。
副作用や後遺症が怖いのは、毛の問題だけでなく体全体に影響が及ぶからです。
いくら効果あってエビデンスが確立されているからと言っても、「これじゃ、ちとまずいでしょう!」と思う次第です。
以上2回に渡って日本の皮膚科学会が発表した男性型脱毛症治療のガイドラインについて、現場のカウンセラーとして考察してみました。
これらをどう捉えるかは、読者の皆様方次第です。
一方的に良いとか効果があると言う話ばかりではなく、現場で仕事をしている人は「こう見ている」「こう感じている」のを分かって頂ければと思います。
143号は平成22年(2010年)6月19日に配信したメールマガジンです。